図書館の貴重書?稀覯本
図書館の窓
2017/04/13
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OVERVIEW
立教大学に所蔵されている、貴重書や稀覯(きこう)本についてご紹介します。
貴重書とは?
立教大学図書館におけるいわゆる貴重書や稀覯本とはどのようなものでしょうか?『立教大学貴重書?準貴重書に関する規程』では、明確な基準を年代によって定めています。和書は慶長(1614年)以前、洋書では1800年以前のもの、そのほか稀少資料や高額なものを含めて、現在、和書では260冊、洋書では2800冊ほどが「貴重書?準貴重書」として指定されています。
立教の貴重書の特徴
(左)①リールのニコラウス聖書全注解vol. 2(右)②欽定訳聖書
③竹取物語絵巻
立教大学の貴重書の特色には、洋書が多い、ということがあります。築地時代の“Library of Trinity Divinity School”(東京三一神学校図書館)の蔵書印が押されている『リールのニコラウス聖書全注解vol. 2(1481年)』①は、インキュナブラ(揺籃期本)と呼ばれ、世界的にも珍重される活版印刷の父?グーテンベルク時代の書物群の1冊です。どのような経緯で日本に持ち込まれたのか分かっていませんが、教会関係者から寄贈されたのではないかと思われます。聖公会の聖典ともいうべき『欽定訳聖書(キング?ジェームズ版)』②は図書館として購入したものですが、完本を所蔵しています。
近年では、文部科学省の補助金などを得て『竹取物語絵巻』③、『竹取物語(慶長元和中刊古活字版)』なども購入されています。各学部の図書費で購入された貴重書のなかには、ジャン=ジャック?ルソーの『社会契約論』や『エミール』④など世界的名著の初版本もあります。
近年では、文部科学省の補助金などを得て『竹取物語絵巻』③、『竹取物語(慶長元和中刊古活字版)』なども購入されています。各学部の図書費で購入された貴重書のなかには、ジャン=ジャック?ルソーの『社会契約論』や『エミール』④など世界的名著の初版本もあります。
④エミール
コレクションとしての貴重書
貴重書というと個々の美術品や骨董品のようなものが想像されるかもしれませんが、著名な研究者や作家の旧蔵書群が特別コレクションとして、準貴重書的に扱われる場合があります。立教大学の隣地に居宅を構え、稀有な蔵書家でもあった江戸川乱歩が蒐集した近世和本3500冊も、近世の日本文学資料として風俗?歴史的に意味合いがあることから貴重書庫に配架されています。このほか、「大久保利謙文庫」「海老澤有道文庫」「宮沢俊義文庫」などが新座保存書庫に所蔵されています。
貴重書の保管と利用
図:池袋図書館貴重書庫(金剛株式会社より提供)
貴重書は、「貴重書庫」に保管されており、通常の書架には配架されていませんが、申請手続きの上、利用許可が得られると閲覧することができます。池袋図書館にある貴重書庫(下図)は、防火扉で仕切られ、二重に施錠された閉架書庫です。資料の劣化や虫菌害を防ぐため、24時間空調が稼働しており、温度22±2℃、相対湿度50±10%で厳重に管理されています。
学内?学外への公開と資料保存
このように貴重書は普段目にすることができませんが、年に1回の「貴重書見学ツアー」で学生や教職員に公開したり、図書館ホームページの「デジタル?ライブラリー」上で、一般にも公開したりしています。2019年で池袋図書館は100周年を迎えます。今後も貴重資料が単に死蔵されることがないよう、研究利用や公開とのバランスも加味しつつ、人類の文化継承の役割の一端を担うべく、貴重書をはじめとする資料保存に努めていきます。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。
※本記事は季刊「立教」239号(2017年1月発行)をもとに再構成したものです。定期購読のお申し込みはこちら
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